1、 歯周病とは、な~に
歯周病は歯周病菌が口の中で増殖して起こります。歯周病菌には多くの種類がありますが、中でも、「Pg」と呼ばれる菌が悪玉とされています。
口の中には約1000億個の菌がいます。大部分は悪さはしませんが、「Pg」菌の割合が総菌数の0.01~0.02%を超えると歯周病が進行してしまうといわれています。
歯の表面や、歯と歯茎の境目にとり付き、苦手な空気(酸素)を避けるため周囲に「バイオフィルム」というバリアを張り巡らします。これが歯垢となり、そこから出る成分が歯茎の炎症を引き起こします。
この炎症が長引くと、歯と歯茎の隙間「歯周ポケット」が深くなり、歯周病菌の絶好の住みかが出来ます。歯周病菌は空気を嫌う菌ですから空気を嫌って「歯周ポケット」の奥へ奥へと進んでいきます。
やがて、歯を支えている骨が炎症で溶かされ「歯周炎」につながり、将来放っておくと歯が抜け落ち、失うことになりかねません。
成人の8割以上がかかるといわれる歯周病は適切な治療を行えば、進行を止めたり、健康な状態に近づけたりすることが出来ます。
2、 歯周病が原因で死ぬってホント?
歯周病や口臭を軽くみてはいけません。糖尿病などの生活習慣病を悪化させる原因にもなりかねないのです。
例えば、菌の感染によって体内に作られるたんぱく質が血統を調整しているインスリン細胞に影響して、高血糖になりやすいといわれています。
糖尿病は好中球の機能低下により、感染症を起こしやすい状態になっていると考えられています。以前から、歯周炎についても「糖尿病患者は歯周炎になりやすい」という報告がなされています。近年これの逆、「歯周炎患者は糖尿病になりやすい」との報告もなされています。
糖尿病の状態をHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値によって示すと、歯周炎の治療によってHbA1cが低下する、つまり糖尿病が改善されているとする報告があります。これほどに糖尿病と歯周炎とは深い関係があるのです。
歯周病は出産にも大きなかかわりがあるのです。妊娠したマウスに「Pg」菌を感染させるとマウスが流産を起こすという実験結果があります。これは歯周病原細菌によって精算されたサイトカインという物質によって早産や流産が引き起こされていると考えられています。米国歯周病学会の報告でも、切迫早産と診断された妊婦の羊水中に歯周病原菌がいることが確認されています。
その他にも口の歯周病菌が血管に入り込むことで狭心症を引き起こす確立は約3倍になるという報告もあります。さらに物を飲み込む力が弱わっている高齢者にとっても、口の中の菌が肺に入り込むことで起こる「誤嚥性肺炎」とも深いかかわりがあります。
3、 じゃあ、どうすればいいの??
基本は毎日の歯の手入れ、といってもどのようにすれば良いのか具体的には分かりにくいものです。当歯科医院では歯磨き指導をしっかりとご指導させて頂いており、患者さんから喜ばれています。
しかし、すでに「バイオフィルム」「歯垢」が張り巡らされ」、歯茎の炎症を起こしている方は「歯周ポケット」をきれいに掃除して、菌を減らせば歯茎はしっかりしてくる可能性が残されています。
その掃除の方法の例は「スケーリング」「ルートプレーニング」という方法です。その他にも処置はありますが、一般的な方法はこの2つです。ぜひご来院いただき、衛生士の説明をお聞きください。